京「七緒ちゃん、簡単に説明してあげて。」
京楽が七緒を促す。
七「実は、昨晩、佐藤さんが例の吉沢さんを見かけたそうなんです。」
『本当か！場所は？』
七「八番隊の書類倉庫裏です。」
京「っというわけで、亜莉亜ちゃんに教えに来たんだけど、一つ気になることがあってね。」
京楽は小さな声で、亜莉亜たちに伝えた。
それを聞き、亜莉亜は目を見開いた。
『…黒マントの男と一緒、か』
隊「あの、たぶんですけど、ルシファーって呼ばれていたと思います。聞き慣れないので、印象に残っていて」
拓「亜莉亜。」
『あぁ、恐らく奴だ。──佐藤。吉沢はどんな様子だった？』
隊「連れていかれてる、って感じでしたが、抵抗は全くしていませんでした。」
その言葉を聞き、亜莉亜は眉を寄せた。
『その様子だと、吉沢もやつらの仲間だったとも考えられるな』
拓「厄介だね。どんどん敵が増えていく。」
『奴らは一体何が目的なんだ。』
亜莉亜は静かに呟いた。
京「う～ん…。また復讐、とかかな？」
七「ちょっと隊長！縁起でもないこと…」
『いや、その可能性も十分にある。…な、魅月。』
亜莉亜は唐突に、その場にいるはずのない人の名を呼んだ。
『いるだろ？聞き耳たててないで入ってこい。』
ドアが開く音がして、おずおずと魅月が入ってきた。
魅「あの…ごめんなさい。」
『別にいい。…魅月、お前はどう思う？意見が聞きたい』
魅「私は、復讐が目的じゃないと思う。少なくとも、吉沢以外は、力に任せて動くようなことはしてないでしょ？吉沢はどうか分からないけど、他の敵は、どちらかっていうと、"守り"に入ってるよね。だから、他に何か大きな目的があるんだと思う。」
魅月は、まっすぐに亜莉亜を見た。
亜莉亜は難しい顔をしている。
京「気を付けてね、亜莉亜ちゃん。狙われているのは君だろうから。」
珍しく真面目な顔をしながらそう言った京楽に、亜莉亜は頷くことしか出来なかった。