燃ゆる想い
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(ああ、………さっきの)
先ほど見た芸妓たちの喧嘩だ。
遂に置屋に連れ戻されるのだろう。
(やれやれ………)
面倒臭い。
芸妓たちが争っていた部屋の前には、今も人垣ができていた。
皆部屋の中を覗き込んでいる。
男衆たちがやって来たし、芸妓たちはそれぞれ引き離されて一件落着というところだろう。
人垣のせいで狭くなった廊下を、また沖田は壁に背中をつけて忍者みたいに横歩きで進んだ。
特に興味も無いが、なんとなく男達の肩越しに部屋の中を盗み見てみる。
「は?!」
そこに居るのは、先ほどから捜しているのぞみではないか!
呆けた顔で部屋の奥の方に座っていた。
隣には、見慣れない男が心配そうに彼女の肩を抱くようにして顔を覗き込んでいる。
「ちょ、ちょっと、通して!」
男達の間を縫って部屋に転び出る。
本当に転んでしまいそうになったのを、すんでのところで堪えた。
「総司」
声の主を探して顔をあげる。
「土方さん!」
そして、男衆に囲まれた芸妓が目に入った。
「明里さん………?」
一体何があったのだろう。
いつもは美しく華やかな彼女が、今はその見る影もない。
乱れた髪、涙で流れ出した化粧が頬を汚していた。
一文字に引き結んだ唇が、その食い込んだ前歯で今にもプチンとはち切れてしまいそうだ。