燃ゆる想い
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「何事だ!」
土方さんの声にハッとしてあたしは才谷さんの身体の陰から目だけを覗かせた。
そこにはすでに野次馬で人垣が出来ていた。
その人垣をかき分けて来るのは、土方さんだ。
土方さん!───そう言って、ここから飛び出す。
間違いなくそうするだろう少女漫画の主人公なら。
だがあたしは、また才谷さんの身体の後ろに隠れた。
才谷さんは、小柄な───いや、ここでは大柄なあたしでもすっぽり隠れられるくらい大柄な男性である。
思わずきゅっと、才谷さんのホコリっぽい着物を握った。
「うん?もう大丈夫ねや」
ポンポンと優しく背中を叩いてくれる。
いや、大丈夫ではない。
また問題を起こしてしまった。
しかも相手は山南さんの大切な人だ。
「───明里?
おい、何をやってる。手を離さないか」
高杉に取り押さえられているのが明里さんだと気付いたようだ。
土方さんは咎めるように言った。
「離せと言っているのが分からないのか」
「離してやってもいいが、簪は全部抜いた方がいい」
高杉が答えた。
「何を言っているんだ、兎に角、離したまえ」
「知らないからな」と、高杉は鼻で笑う。
「訳の分からぬ事を」
衣擦れの音がした。
高杉が手を離したんだろう。