明けましておめでとうございます
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「サンナンさん?」
あたしも思わず笑う。
山南さんは、本当にイタズラ好きだ。
でも、今のは少し可哀想だったと思う。
「でも、本心には違いないよ。
私だって、公方様の護衛がしたかったさ」
確かに、そもそも江戸で結成されたという浪士組が京都にやってきたのは将軍様の警護のためで、町の巡察はオマケみたいなものだろう。
あたしは悲しくなって、視線を落とした。
「───で、このお芋の大将みたいなのは何の真似かな?」
明るい調子で訊いてきたので、またあたしは噴き出した。
「カシラ芋です」
「かしら芋?」
「たぶん。家では一口くらいの大きさに切って入れてたんで、食べてみないと分かりませんけど」
「分かった!
女中を皆、
あたしは、ますます笑った。
「もしかしたら、そうなんかもしれません」
真相は知らないけど、ひょっとしたら、そんな理由から始まったものだったのかもしれない。
慣習とは大抵そういうものだ。
「これ、多分、お正月の三が日をかけて食べるんです」
「え、そうなの?」
「はい、おばあちゃん………祖母から、そんな風に聞いたことあります」
「ふうん、面白い風習だね」
そんな風に残しておいたら、カビが生えたり腐ったりするんじゃないかと思っていたけど、台所自体が冷蔵庫みたいに冷えているこの時代なら、案外三日間くらいならもつのかもしれない。
「そうや、サンナンさん!」
「うん?」
お椀を手に持った山南さんが、顔を上げた。
「後で、壬生寺まで行きましょうよ」