燃ゆる想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
厠へ向かいながら沖田はフンフンと鼻歌を歌った。
【どんな風に脅かしてやろう】
そう考えると浮き浮きしてくる。
からかい甲斐のある面白い子だ───と、沖田は小さく笑みを浮かべた。
「そうだ、土方さんの発句集が見つかったら、あの子に写本を沢山作らせてやれ!」
それを前川邸の隊士たちに配ってやったら、さぞ可笑しいだろう。
こみ上げる笑いを、クククとこらえて沖田は廊下を進んだ。
厠に着いた沖田は、案の定使用中らしい扉をどんどんと叩いた。
「ちょっとー、いつまでここに篭っているつもり?」
だが、中から応答が無い。
「ちょっとってばー!腹でも下してるのかい?
やっぱり君みたいな子には、ここの料理は上等過ぎて合わな───」
突然手前に開いた扉が鼻にぶつかりそうになって、沖田はひょいと身体を後ろに反らせた。
「はははー、残念でした!そんなことに引っかかる僕だと───」
中から出てきたのは男だった。
くたびれた着物と袴が、長く浪人をやっていることを物語っている。
「え?」
沖田が間抜けな声を漏らすと、男はジロリと一瞥してから歩いて行った。
「あれぇ、あの子じゃないじゃん」
はて、一体どこで行き違ったんだろう。
燃ゆる想い<3>/終