燃ゆる想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
どん───壁が揺れて、土方は顔をあげた。
(地震だろうか)
「なんだろう、地震かな」
やはり、山南もそう思ったようだ。
京は地震が少ないと聞いていたが、たまにはそういうこともあるのかもしれない。
「いや、怖おすなぁ」
芸妓が土方に擦り寄った。
刹那、部屋の外で男の大きな声が上がった。
沖田がすっくと立ち上がって、大股に襖に向かっていく。
「総司、」
「ちょっと見てくる。あのオッチョコチョイ、厠に行ったきりだから」
うっかりしていた。
そう言えばのぞみが厠にと席を立ったまま戻っていない。
沖田が襖を開けると、今度は女の金切り声が上がった。
山南も、心配そうな顔を廊下に向けた。
「何どすやろ」
「さあ、………何か揉め事かな。
のぞみ君が巻き込まれていなければいいけど」
「くそ、最初っから総司について行かせりゃあ良かった」
吐き捨てるように土方が言って立ち上がろうとすると、女が可笑しそうに顔を覗き込んだ。
「過保護どすえ、土方せんせぇ」
くすくす笑っている。
「馴染みやないあてを呼んでくれはるやなんて、おかしい思いました」
「何がおかしいんだい?」
山南が訊いている。
「【なにが】て、決まってますやおへんか」
「おい、」
土方は制したが、女は黙らない。
「好いたおなごの前で馴染みの遊女はべらすわけにいきまへんやろ」
山南が苦笑いを浮かべる。
その笑顔が土方を苛立たせた。