燃ゆる想い
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あたしは思った。
───ひょっとして、これから、あたしたちのお座敷に上がるのだろうか?
山南さんは、今夜、彼女と一夜を過ごすのだ。
言いようのない悲しみと嫉妬がこみ上げて、あたしは知らず自分の袴をギュッと握っていた。
「へえ、おおきに」
こういう声を【玲瓏な】と形容するのだろう。
とてもあたしには出せないような透き通った声で応えて、彼女は部屋に入ってきた。
なんという存在感なんだろう。
その立ち居振る舞いから話し方まで、すべてが圧倒的だ。
手の届かない人だ───ぽろりと涙がこぼれた。
山南さんは、到底あたしには手の届かない人だった。
彼だけではない。
土方さんはもちろん、普段あたしを可愛がってくれている新八さんや左之さん。
平助くん、総司くん、たぶん一くんにだって、それぞれ馴染みの遊女がいる。
彼女たちもきっと、アイドルやモデルみたいに綺麗な女性たちに違いない。
彼らは皆、あたしには到底手の届かない人たちなのだ。
(帰ろう)
帰りたい。
今すぐ、一くんが迎えに来てくれたらいいのに。
いや、一くんだって本当ならあたしのお迎えなんかより、馴染みの遊女と一晩を過ごしたいに決まっている。
あたしが新選組にいることで、誰もが迷惑を被っているに違いない。
でも、とりあえず今は、この部屋から出たい。
ここでは、呼吸が出来ない。
そろりと立ち上がろうと膝を立てた。
誰にも気付かれないうちに、ここから立ち去りたい。
才谷さんの愛想の良い声が聞こえているが、何と言っているのかは理解できない。
ふと視線を動かすと、明里さんの視線とぶつかった。
───見ないで、お願い。
もう、山南さんに好かれたいなんて思わないから。
もう、出し抜こうなんて思わないから。
いたたまれない思いで、あたしは視線を落とした。
次の瞬間、
(────?!)
何だろう、身体に重い衝撃を受けた。