燃ゆる想い
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<3>
───見つけた
なのに、意外にもこの部屋に山南が居ない。
でも、この際そんなことはどうだっていい。
むしろ、山南が居ない方が都合がいいかもしれない。
(許しまへん………)
身請けが決まっていたのに。
(なんで………)
なぜ、自分ではいけないのか。
(………なんで?)
なぜ、この女なのか。
好き合っていたはずだった。
少なくとも、大坂に下る直前の逢瀬までは、好き合っていたはずだ。
(そやのに………)
この女は、一体どうやって、山南に取り入ったのだろう?
どんな卑怯な手を使って、新選組に入り込んだのだろうか?
袖の中に隠している指先がわなわなと震えた。
嫉妬なのか、悲しみなのか、それとも怒りなのか───。
確か、坂本と言ったろうか。
いかにも田舎者らしい男が大声で何か言っているが、内容までは頭に入ってこない。
(このおなごさえ居いひんかったら………)
そろりと袖から指先を出す。
もう一度、坂本が何か言った。
何を問われたのかは分からなかったが、「へえ、おおきに」ととりあえず返事だけする。
ちょいと簪を直す振りをして、それを袖の中に隠した。