燃ゆる想い
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「土佐には醜女しかいないのかい」
憎たらしい言い方で言って、高杉は酒をあおった。
その時、襖越しに女の声が掛かった。
「ごめんやすぅ」
「おう、何じゃ」
才谷さんが応えると、襖がスッと開いた。
先程、廊下ですれ違った太夫だ。
団子の代金も払えないくせに、こんなに高価な芸妓を呼んで大丈夫なのか。
それともやっぱり頭が悪いのか───そんなことを思っていると、才谷さんが意外なことを言った。
「おまん、…………久しぶりじゃのう!明里か!」
あけさと?
(────え、明里さん?!)
さっきのとびきり美人な女性が?────あたしは、目を見張った。
同時に愕然とする。
彼女が相手では、まったく勝ち目が無い。
山南さんにちょっと優しくされて、のぼせ上がっていた自分が恥ずかしい。
明里さんの視線がこちらを向いた。
「あ、」という表情に変わる。
きっと【さっきすれ違った魚臭いオトコ女や】とでも思ったに違いない。
否───山南さんが好きになった女性だ。
そんなに性格が悪いはずがない。
性格が悪いのは、むしろあたしの方。
あたしのひがみっぽい性格がそう思ってしまっただけだ。
「高杉、おまんが呼んだんかぇ?」
「いや、…………」
高杉は、鋭い目付きで明里さんを見ている。
「まぁ、入れ、入れ!
入ってちっくと飲んでいったらどうじゃ」
才谷さんは、目尻を下げて誘う。
男性なら、誰だってこんな女性を自分のものにしたいと思うだろう。
あたしは、また自分の姿が恥ずかしくなって、おどおどと自分の手元に視線を落とした。
燃ゆる想い<2>/終