燃ゆる想い
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<2>
ちょうど仲居さんがやってきたのでトイレの場所を聞き、少し迷いつつなんとかたどり着けた。
自慢ではないが、あたしは方向音痴である。
トイレから出てきたあたしは案の定、逆の方へと歩き出していたようだ。
(あれ?)
(行きし、こんなとこ通ったっけ?)
くるりと回れ右をして元来た道を歩き出す。
すると───、
(わ、すごい!)
前から芸妓さんがやってきた。
すごく華やかな着物と簪だから、ひょっとしたら【太夫】と呼ばれる人なのかもしれない。
白く塗った顔はとても小さくて、ファッションモデルみたい。
細い眉に切れ長の目が美しい。
伏し目がちなので、睫毛の長さがよくわかる。
鼻筋の通った先のとがった鼻が、美しい顔をより上品に聡明そうに見せている。
(綺麗ーーーーーっ!!)
その圧倒的な存在感に、あたしは本能的に廊下の壁に背中をへばりつかせて彼女に道を譲った。
後には
とても可愛らしいが、何年か後には一人前の芸妓としてデビューし、求められれば夜のお相手にも応じなければならないのだと思うと不憫でもある。
(自分の将来を自分で決められへんて、不幸やな……)
そう眉を寄せた時、
「あの、もし…………」
声が掛かった。
(───はて、)
あたしは小首をかしげる。
(あたし?)
こんなところに知り合いはいないけど、落し物でもしたかな。
そう思って振り返ると、今すれ違ったばかりの太夫だった。