燃ゆる想い
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思わず浮かべてしまいそうになる笑みを隠すため、あたしはわざと苦い顔をした。
行かせてあげるべきだ。
山南さんだって、自分の気持ちと向き合う必要がある。
その上で尚、破談だというのなら、あたしも心置き無くアタック出来るというものだ。
もしも、やっぱり明里さんと一緒になりたいということになったって、そもそもの状態に戻るだけのこと。
───そう、元に戻るだけのことだ。
「なに言うたはるんです。
ほら、お迎えの人が来はりますよ」
土方さんの足音が聞こえている。
すると、山南さんはあたしの手首を掴んだ。
「君も一緒に行かないか」
それは、嬉しくもあり、辛いことでもある。
自分でも性格が悪いと思うけど、山南さんと明里さんが一緒にいるところを見るのは嫌だ。
「出来たか」
こちらの応えを待たずに障子が引き開けられた。
山南さんは、慌ててあたしから手を離す。
「出来たのか?」
再度訊かれて、あたしはドギマギと答えた。
「────あ、はい」
「そうか、じゃ、行こうかサンナンさん」
「土方くん、のぞみ君を一緒に連れて行ってはいけないかな」
一瞬の間をおいて、土方さんは間抜けな声を出した。
「────は?」
「島原なら、のぞみ君を連れて行っても構わないだろう。
彼女には、ずっと私の世話で苦労をかけているし、美味いものを食わせてやりたい」
「ね、」と、山南さんはあたしの目を覗き込んだ。
そこに土方さんの冷たい声が割り込む。
「こいつなら、また今度でいい」
「も、もちろん!」
あたしは慌てて視線を土方さんに向けた。
「なら、私も行くのはやめた」