燃ゆる想い
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<1>
山南さんに【よそ行き】の袴を着けながら、あたしは複雑な気分でいた。
【誘いがあれば、受けるとするか】
山南さんは、土方さんの【誘い】を受けることにしたのだ。
あたしがどうこう口出しすることではない。
(それは分かってるけど)
破談だ、不具だと言いながら、やはり山南さんは明里さんに会いたいのかもしれない。
いや、会いたいのだ。
袴の紐を形良く整えて、あたしは立ち上がった。
「はい、出来ました!」
襟を整えるため────と言うより、一種のクセのようなものだ。
あたしは山南さんの襟に人差し指を差し入れて、すうっと撫で下ろした。
「ありがとう」
相手が土方さんなら【お泊まりですか】と嫌味の一つも言うところだが、山南さんにはそういう軽口を叩く気にはならない。
「いってらっしゃい。楽しんで来てください」
ぽんと襟を叩いてから、「あ、羽織、羽織!」と山南さんに背中をむけた。
そうしないと、泣き出しそうになる。
だから、わざとおどけて言った。
「羽織忘れたら凍え死にますよねぇ~え」
さっきから山南さんの口数が少ないのは、緊張感からだろうか。
(明里さんを抱くのかな………)
下世話な想像をした罰に、心臓を鷲掴みされたみたいに胸が詰まった。
羽織の紐を結んで、再度あたしはぽんと山南さんの胸を叩いた。
「はい、出来ました。今度こそ!」
「やっぱり…………」
「────え?」
「やっぱり、やめておこうかな」