悋気
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そうだったら、どんなにかいいか───。
「そんなわけ無いでしょ。サンナンさん、まだ明里さんのこと好きやのに」
「───、そうなのか?」
虚をつかれたように土方さんは言った。
「なんで、お前ぇなんかにそんな事が分かる」
「恋文です」
「恋文ぃ?」
珍しく土方さんは素っ頓狂な声をあげた。
本当は黙っておくべきなのは分かっている。
だけど、あたしだって誰かに聞いてもらいたい。
「あたしは直接は見てないんですけど、壬生寺まで来たはったみたいです」
「明里がか」
「たぶん。近所の子が目撃してて、すごい綺麗な人やったって」
どんな人なのか、見てみたかった。
そうすれば、諦めがついたかもしれない。
「ふうん、で、サンナンさんはどんな様子だったんだ」
「その時は、声かけてきはらへんかったので」
「なら、恋文はどうした」
恋文は後日届けられたことを、土方さんに説明する。
「恋文はそれきりなのか?」
「あたしが知ってるのはそれだけです。
ひょっとしたら、馬詰さん経由でやり取りしたはるかもしれませんけど」
「ふうん」と、興味なさそうに言って、土方さんは箸を取り上げた。
話の区切りもついたので、あたしは立ち上がろうとした。