悋気
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山南さんのお膳と自分のお膳、それに土方さんのお膳を積み上げて部屋の前までやってきた。
「入りますよう」
障子を開けると、ジロっとこっちを睨んできた。
どうやら、何か文句があるようだ。
あまり表情の変わらない人だが、野生動物を観察するのと同じように、毎日接しているうちに見分けがつくようになってきた。
素の仏頂面、機嫌は悪いがその原因はあたしにはない場合の仏頂面、何かあたしに対して気に入らないことがある場合の仏頂面───。
今は、あたしに因る不機嫌のようだ。
「お待たせしました」
案外お腹が空いているのかもしれない。
そう思いながら、土方さんの前にお膳を置いた。
「あ、お銚子いりますか?」
欲しいと言えば、山南さんの分をとりあえず一本回せばいい。
ところが、それには答えず、土方さんは腕組みしたまま不機嫌そうな声で言った。
「そこへ座れ」
こうなったら、逆らっても意味はない。
あたしは素直に土方さんの正面に座った。
「寝てンのか」
「………起きてますけど?」
「だから、サンナンさんと寝てンのかって訊いてるんだ!」
ああ、そういう意味か───あたしは小さくため息をついた。