悋気
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「当たり前ぇだろ。あいつが一番暇を持て余してんだからな」
「いやはや、有難いことだな。
明里とのことが破談になってなけりゃ、のぞみ君に世話をかけることもなかったんだが」
「仕様がねぇだろ!」
山南が戻った次の日、やはり破談の件は保留にさせてもらおうと、土方は置屋に掛け合った。
置屋の説得には成功したものの、山南の方が頑なだった。
「サンナンさんが、どうしても破談にするって聞かねぇんだから!」
とうとう「これ以上は待てない」と、昨日置屋の方から詫びを入れてきた。
「サンナン君は、のぞみ君のことを好いているのかな」
「はあっ?!」
「いや、だって、明里の世話を拒んで、のぞみ君からの世話は快く受けているというのは、そういう気持ちがあるからなのかな───、と」
「馬鹿馬鹿しいっ!」
土方は、プイッと横を向いた。
不貞腐れたような横顔を、近藤は目を細めて見つめた。
そして、おどけた口調で言った。
「うかうかしてっと、トンビに油揚げかっさらわれっぞぉ、トシぃ」
「ああ?」
土方が鬱陶しそうに片方の眉をあげた。
近藤は手の平を火鉢にかざす。
「サンナン君が不自由なのは、左腕と右脚だけだよ、と言っているんだよ」
火鉢に掛けた鉄瓶から吐き出される湯気が、しんとした部屋にしゅんしゅんと響いた。