悋気
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一月も半ばに近付いたころ、土方さんたちは戻ってきた。
あたしと山南さんは、馬詰さんも、もちろん一くんも切腹を申し付けられるような仲には発展しないまま、この貴重な期間を終えてしまったのだ。
「今日も寒いですねぇ」
あたしが言うと、山南さんは不自由な左腕でわずかに自分の方に引き寄せてくれた。
「うふふ、ぬくたい」
あたしからも山南さんに抱きつく。
よほど雨が降ったり雪がひどい日を除いて、あたしたちは壬生寺のお堂までの散歩を欠かさなかった。
それでも、山南さんの脚は一向に良くはならない。
やはり、神経か何かを痛めていて、改善は望めない怪我なのかもしれない。
あれから、明里さんからの恋文は届いてはいない。
少なくとも、五平から手紙を渡されることはなかった。
もちろん、あたしの知らないところで、例えば馬詰さんを介してやり取りしていれば別だけれど。
お堂に腰掛けた山南さんは、あたしの腕をこするようにする。
「温まるだろう?」
「はい」
馬詰さんは、黙ってそれを見て見ぬふりをしていた。