ドキドキのお留守番
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「しかし、戸入れなら方向が違うだろう」
ぎくり───確かに。
トイレなら母屋の方へ向かわねばならない。
「そんなことより、大阪行ってたんちゃうん。
いつ帰ってきたん?」
そこで、話をそらす作戦。
「俺はそもそも下坂していない」
「え、そうなん?!公方さん来はんのに?」
では、みんなが大阪に行った後、一くんは一体どこで寝起きしていたんだろう。
自分の胸元に当てられたライトを忌々しそうに見下ろしながら、一くんは口を開いた。
「ここをもぬけの殻にする訳にはゆかぬだろう」
「なんで?」
「なんで、………そんなことも分からぬのか」
「嘆かわしい」と、一くんは吐き出した。
「分からへんから聞いてんねん!」
「襲撃されたらどうするんだ」
あたしは、ため息を一つついて、冷めた調子で言った。
「だーれもいーひんとこ襲撃なんかしはらへんって。
そんな意味ないことせんやろ、いくら長州がアホの集まりや言うても」
「全く、何も知らぬのだな」
一くんは偉そうに言って、腕組みする。
一昨年の年末、まだ未入居だった真新しい英国公使館を、長州の【タカスギシンサク】という男が焼き討ちしたという事件を淡々と説明した。
「【タカスギシンサク】?………て、あの【高杉晋作】?」
「何だ、知っているのか高杉のことを」
「ようは知らんけど、名前くらいは」
何をした人かは知らないけど、確か恋愛ゲームの攻略対象になっている人だと思う。
ということは、そんなに悪い人ではないだろう。
偉人か何かだったのではないか。