ドキドキのお留守番
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山南さんがここにいる間に───その事があたしに大きなプレッシャーをかけていた。
馬詰さんは、きっと今夜もトイレに行くだろう。
(そのスキをついて………)
その隙を突いて何をしでかそうというのだ───そう自嘲する。
それなのに、さっきからあたしは、少しの音も聞き逃すまいと聞き耳を立てている。
あたしたちしかいないこの離れは、しんと静まり返っているため、ほんの少しの軋みもよく響く。
でも、今夜はトイレに行かなければいいのにとも思う。
それを口実に諦めることが出来る。
馬鹿な真似をしなくて済む。
ギシ───床の軋む音であたしの身体はビクッと震えた。
立ち上がった馬詰さんは、そうっと障子を開けて出ていく。
どんなに気を付けても、離れの縁側には必ず軋むところが何ヶ所かある。
馬詰さんの足音が遠ざかって行くのと反比例して、あたしの心臓の音はどんどん大きくなった。
(どうする………)
今なら、ここを抜け出しても誰も気付かない。
あたしは起き上がった。
掛け布団の上にのせてある綿入れの羽織を寝間着の上に羽織って、布団を抜け出した。
何をしようと決めているわけではない。
でも、じっとしてもいられない。
───山南さんが行ってしまう
山南さんがここにいる間に、後で「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と後悔しないように………。