ドキドキのお留守番
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「へ、何を?」
「
「ううん、そもそも、あたしがオナゴの恰好するのも気に入らんみたいやし。
必要ないと思てるんちゃう?」
「そやけど、それとこれとは別どっしゃろ?」
「何が?」
簪というものは贈り物の中でも特別で、【一緒になろう】という意味があるとリクちゃんは教えてくれた。
「そうなんや!」
「なんや、知らぁらへんかったんどすか?」
「うん、知らん知らん」
「のぞみはんて、変なことようけ知ったはるのに、肝心なこと知らぁらへんこと多おすなぁ」
リクちゃんは、可笑しそうにクスクス笑う。
髪に挿された新しい簪。
それには、そんなに重要な意味が込められていた。
(せめて、土方さんがあのとき外出したぁらへんかったら………)
でも、そのことはリクちゃんには言わないでおいた。
知らない方が幸せなことだってある。
リクちゃんは、他にも遺品をもらっていた。
「印籠どす」
懐から大事そうに取り出して、両手の平に包み込むようにしてあたしに見せた。
「サンナンさんが、お口添えしてくれはったんどす。
【いっつも野口はんのお腰にぶら下がってたもんやさかい、あてが持ってるんが一番野口はんが喜ばはる】て、言うてくれはって。
ほんま、ええお方どすなぁ、サンナンさんて。
あんなことになってしまわはったけど、ほんまに、サンナンさんこそお幸せになって欲しおすなぁ」
リクちゃんは言って、視線を空に向けた。
ドキドキのお留守番<1>/終