ドキドキのお留守番
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お寺の前に待たせてあった駕籠に乗り、山南さんは先に八木さんちに向かった。
あたしはリクちゃんと二人で歩く。
「また、
「へえ、また
両手を胸の前に合わせたまま、リクちゃんはくしゃりと笑った。
「いっぱいお話さしてもらいました。
ちょっとだけ、文句も言わしてもらいました」
リクちゃんはちょこんと肩をすくめる。
「一晩中、お話して過ごしたこともありましたんえ。
話し疲れて、野口はんの腕の中で寝てしもて………」
リクちゃんは、どこか幸せそうに微笑んだ。
「そやけど、もっともっとお話しといたら良かった。
聞き忘れたことも、よう考えたらいっぱいおましたし」
あたしの顔を覗き込むようにして、リクちゃんは続けた。
「のぞみはん、なんでもお話しとかな後悔しはりますえ。
いつなんどき、お命を落とさはるか分からしまへんのやし」
いつ何時───本当にそうだ。
山南さんが怪我をする前に、なんで一度でも道場を覗かなかったんだろう。
北辰一刀流という名門の剣術で免許皆伝だった山南さん。
剣を振るう姿はきっとカッコ良かったに違いない。
八木さんちに向かって歩いていると、ときどきすれ違う浅葱色の羽織を着た隊士が、あたしに気付いて頭を下げていく。
「のぞみはん、もう土方はんからもらったはります?」