ドキドキのお留守番
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「リクちゃんも、行くって言うたはりました」
「そう、それは何よりだ」
山南さんは、嬉しそうに笑みをこぼす。
「野口くんだって、誰よりおリクさんに参ってもらいたいだろうから」
「そうですね」
山南さんは、少し遠くを見るようにしてから、あたしに視線を戻した。
「私なら、君に参ってもらいたい」
一瞬揺れた瞳に不安がこみ上げて、あたしは上手い答えが見つからないまま立ち尽くしてしまった。
山南さんは、「参ったな」と頭に手をやる。
「勿論、ずっと先の話だよ。
でも、順番から言えばそうなるだろう?
私の方が君よりひと回りほども上なんだから」
知らず息を詰めていたのだろう。
あたしは喘ぐように息をついた。
「お、………脅かさんといて下さいよ、もうっ」
「第一、私はもう斬り合いは出来ないんだ。
長生きする他ないよ」
山南さんは自嘲気味に言って小さく笑い声を立てた。
野口さんのお墓はまだ墓石が無く、木の板を立てただけの質素なものだ。
リクちゃんは、その前に膝をついて座ると、長い間手を合わせた。
話すことがたくさんあるだろう。
同時に言いたいこともたくさんあるだろう。
そう言えば、形見に何かもらったのだろうか?
(───あ、)
訊くまでもなかった。
髪に初めて見る簪が挿されている。
野口さんは、これからもリクちゃんを見守っていくつもりに違いない。