ドキドキのお留守番
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お膳を台所まで持ってくると、スエちゃんが下駄を鳴らしてやって来た。
その向こう側には、リクちゃんの姿がある。
リクちゃんは、三日の夕方、ちゃんとここに戻って来た。
もちろん、年季というものがあるのだから、悲しいことがあったからといって、勝手にその契約を解除するわけにもいかないというのもあるだろう。
でも、あたしはとにかく、帰って来てくれたことが嬉しかった。
「リクちゃん、このあとサンナンさんと野口さんのお墓行くんやけど、一緒に行かへん?」
リクちゃんは、一瞬はっとしたような表情になったが、小さい笑みを浮かべた。
「ええんどすか、ご一緒さしてもろて」
「うん、サンナンさんのお誘いやから」
スエちゃんが「行ってきよし、用事はあてがやっとくさかい」と、そっと肩に手をのせる。
辛そうにわずかに眉を寄せてから、それを吹っ切るように満面の笑みを浮かべた。
「ほな、遠慮のう」
「うん、野口さん、リクちゃんが来るん、楽しみにしたはると思うよ」
リクちゃんは、袂で目頭を押さえてから、「へえ」と微笑んだ。
もらい泣きしそうになったのを隠すために、あたしはそそくさと背中を向けて台所を出た。
さっさと掃除を済ませてしまおう。
がらんとした部屋を足早にすり抜けながら、一番最後に山南さんの部屋にやって来た。
障子が開け放たれているのは、掃除しに来るあたしがわざわざ声を掛けなくてもいいようにとの配慮だ。
すでに馬詰さんは戻っていて、静かに座っていた。