ドキドキのお留守番
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「長州は退いたと見せかけて、実は兵を近くに隠している」
「へ?」
「それも、三千近くだ」
「さんぜん?」
高校の全校生徒が1000人足らずだったはずだ。
だから、3校分の生徒。かなりの人数だ。
「下手を打てば、戦になるかもしれないな」
あたしは絶句した。
でも、でも、でも!!
江戸時代に戦は無かったはずである。
「なぁんて」
山南さんは、くしゃりと笑んだ。
泣き笑いにも見える笑顔を見て、あたしはハッとした。
山南さんも一緒に行きたかったはずだ。
こんな所で、あたしなんかと無駄話をするために京都に出てきたわけじゃない。
「では、朝餉を頂くとしよう」
明るく山南さんが言ったが、それが余計に悲しく聞こえて、あたしは声が小さくなってしまった。
「いただきます」
すっかり普段のメニューに戻った朝食を、山南さんは美味しそうに口に運んでいる。
「それはそうと、」
「はい」
「野口くんの墓参りに行ってやったかい?」
そう言えば、お通夜に行ったきりだ。
「このあと、一緒に行かないか」
「はい、行きます!」
思わず身を乗り出したあたしに、山南さんは優しい笑みを向けた。
「馬詰さん、という訳で、駕籠をお願いします」