ドキドキのお留守番
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「おや、」
朝、部屋に食事を持ってきたあたしを見て、山南さんは目をぱちくりさせた。
「おなごの格好はもうおしまいかい?」
そう、ずっと髪を結っていることに耐えられなくなったあたしは、昨夜お風呂に入る前に髪を下ろして頭を掻きむしった。
そして、今は元通りの袴姿。
「やっぱりあたしにはキツいですぅ」
「よく似合っていたのに」
やっぱり山南さんは、明里さんみたいな艶っぽい女の人が好きなんだろう。
改めてこの時代の女性の女子力の高さには感心させられる。
「ねえ、馬詰さん?」
そう振られて、馬詰さんは困ったんだろう。
無言のまま、頭を小さく下げた。
「ええんです、この方が歩きやすいし。
それに、また五平みたいに変な誤解受けてもかなんし」
「今度は衆道と間違えられなきゃいいけど」
山南さんは苦笑した。
「それはそうと、公方さんはもう来はったんでしょうか」
「どうだろうね」
山南さんは視線を馬詰さんに移して、「何か聞いていますか?」と訊ねた。
前川邸には何人か留守居役が残っていて、大阪とくろ谷さんとの連絡の仕事をやっている。
馬詰さんは、午前と午後に、近況の確認を行っていた。
「は、まだ何も」
連絡は無い───という事だろう。