明けましておめでとうございます
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途端に、土方さんは「あっ」という顔になり、枕に突っ伏した。
「そんなつもりじゃねぇよ」
「ほな、どんなつもりやったんです?
ひどいやないですかぁ。サンナンさん、すごい寂しそうな顔したはったんですよぅ?!」
片方の目だけを枕から出して、土方さんはジロっとあたしを睨みつけた。
「サンナンさんと何処へ行ってた」
「どこだってええでしょう?」
土方さんはムックリと起き上がって布団の上にあぐらをかく。
「部屋を覗いたんだよ、俺だって」
「はあ?」
「そもそも、あんな会合は開くつもりじゃなかったんだ。
それを近藤さんが突然…………」
人のせいにしてるみたいでバツが悪いのか、モゴモゴとハッキリしない。
「近藤さんですか、サンナンさんを仲間はずれにしたはるんわ!」
「別にそういうことじゃねぇだろう」
「ほな、なんなんです?」
土方さんは大きくため息をついてから言った。
「政変以来、念願の出陣だからな。高揚を抑えられないんだろ」
八月十八日の政変以降、特に大きな出動は無い。
目下、新選組を悩ませている最大の悩みは、隊士の脱走だった。
政変のような大きな仕事に憧れて入隊したのに、与えられるのは日々の巡察。
飽き飽きした若い隊士の脱走が止まらないのだ。
将軍様上洛が決まったと分かってから、近藤さんは護衛の隊に加えてもらえるよう会津さんに願い出ていた。
それが叶えられたというわけだ。
「サンナンさんの事はわざとじゃねぇ。部屋に居れば声を掛けたさ」
「そうやったんですか………」
ということは、あたしのせいだ。
あたしが初詣に行こうなんて言わなければ。
「兎に角、誰かが留守居をしなくちゃならん。留守居役も重要な役目だ」
もう一度、土方さんが寝転んだので、あたしももう一度またがった。
腰を押すと、土方さんは気持ち良さそうに声を漏らした。
「俺の留守中に問題を起こすなよ」
そう言い残して、次の日の朝、土方さんは出発した。
明けましておめでとうございます/終