明けましておめでとうございます
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吊った腕を精一杯高く上げて、山南さんはスペースを空けてくれた。
腕の中に入れという意味だろうか。
戸惑っていると、
「お入り、あったかいよ」
山南さんはにこりと笑う。
そうやって優しくされるたびに、あたしがドキドキしてることなんて、きっと山南さんは知らないに違いない。
「ほな、お邪魔します」
「邪魔じゃないさ。いつでも入っておいで」
嬉しさと、でもそれは【好いた人】に向けた言葉ではない寂しさと。
唇を噛むと塩味が口の中に広がった。
「あれ、もういはらへんな。帰らはったんかな」
五平が山門の周りを見渡して言う。
「私しか居なかったから、落胆して帰ったんだろう」
山南さんが苦笑する。
「そうかなぁ、そやけど【サンナンせんせぇ】て聞こえて来たんやけどなぁ。
なかなかええ女子やったで。
あれは、この辺の女子やないな。着てるもんも垢抜けてたし」
五平は小首を傾げながら、自分の家の方に戻って行った。
【サンナン先生】の呼び方には、少し違和感を感じる。
なぜなら、女の子たちや子ども達は、【サンナンさん】と呼ぶからだ。
「さ、行こう」
山南さんに声をかけられて、あたしたちはまた歩き始めた。