明けましておめでとうございます
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<3>
不自由な右脚の方を馬詰さんが介助するので、あたしは左側を歩いた。
京都らしいまとわりつくような寒さが薄着の肌にまとわりついて、あたしはブルッと震える。
薄着とは言え、こちらではこれが標準装備である。
欲を言えば、ヒートテックの長袖シャツと分厚いタイツが欲しいところだけど。
「もっとこちらへおいで。
くっついた方がお互い暖かいよ」
そう言われたので、遠慮なく吊った左腕に腕を絡めた。
山南さんはくすくす笑う。
「役得ってやつかな。
私は両側を支えてもらえて、とても暖かいよ」
「確かに、ちょっとズルいですぅ」
あたしが言うと、山南さんはますます笑った。
流石に正月の午前中に、境内で遊んでいる子供はいなかった。
そもそも、子守役の女中たちが帰省中なので、外に出てこられないのかもしれない。
お堂に並んで座ると、馬詰さんが水筒を山南さんに差し出す。
馬詰さんは、細かい所にまでよく気の付く人だ。
山南さんは、美味しそうに喉を鳴らして水を飲んだあと、あたしに水筒を差し出した。
いつもは、そんなこと言わないのに、突然のことに戸惑っていると、
「そっか、普通はここまでを歩いた位では喉など乾かないね」
寂しそうな笑みを浮かべた山南さんが可哀想に思えて、あたしは手を出した。