明けましておめでとうございます
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一月一日の朝、いつもは4人で切り盛りしている台所には、ヨシさんと、トミさんというお婆さんの女中さんしかいなかった。
スエちゃんとリクちゃんは、お正月休みをもらって帰省しているのだ。
ヨシさんは、不機嫌そうにあたし達のお膳を積み上げている。
去年までは、夫婦で八木家に住み込んでいるトミさんだけがお正月もここに残り、八木さん家族のお世話をしていた。
だが、今年は事情が異なる。
新選組という団体さんが滞在中のため、トミさん夫婦二人では家事が回らない。
そこで、台所にはヨシさんが残ることになった。
【今年はお休みもらわんと、野口はんと一緒に
嬉しそうにそう言っていたリクちゃん。
(ちゃんと帰ってくるかな、ここに………)
リクちゃんにとってここは、とても辛い場所になってしまったに違いない。
ヨシさんは、ため息をつきつき、お膳を積み上げている。
その姿を見ながら、少し申し訳なく思う。
ヨシさんも、本当なら、今頃は故郷でゆっくりくつろいでいたはずなのに。
「なんやったら、あたしもお手伝いしましょか?」
恐る恐る申し出ると、ヨシさんはジロリとあたしを見た。
「よろしおす!
お武家はんのお
すると、トミさんがカラカラと笑った。
「気ぃ使わんでもよろしおす。
おヨシかて、ほんまは家に帰りたないんやさかい」
「ちょ、おトミはん?!」
「ええ年してお嫁にもいかんと、肩身狭い言うて毎年嫌がってるやないの」
トミさんは、あっけらかんと言って、お椀にお雑煮をよそっている。
「【ええ年】って、ヨシさん何才なんですか?」
「何才でもええ───」
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