始まった日々
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あたしは、抱かれたまま、縁側まで連れて行かれた。
土方さんはあたしをそっと床に下ろすと、
「ちょっと待ってろ」
そう言い残して、部屋の方へ歩いて行った。
「大丈夫か?」
平助くんが、顔をのぞき込む。
「うん、まあ……」
皮がむけて、赤くなった指の間に息を吹きかけながら答えた。
しばらくすると、手に何か持って土方さんが戻ってきた。
「これを塗っておくといい」
小さな壺から、塗り薬を指にとって、土方さんはあたしの足の指の間に塗りつけた。
「ありがとうございます」
「しばらくは、痛むだろうが」
「また、しばらくはサンダル履いときます」
と言って、あたしは思い出した。
「あ、今さらながらですけど、ゲタをありがとうございます」
「別に礼を言われるほどの物じゃねぇが。
俺としちゃ、女物の塗りの下駄を買ってやったつもりでいたんだがな」
土方さんは苦笑した。
そういえば、総司くんにもまだお礼を言ってなかった。
そう思って見渡すが、姿が見えない。
(──また後で言うたらええか)
あきらめて縁側に座り直すと、一くんがこちらにやって来た。
「一くん、ありがとうね」
一くんは、小首をかしげると
「礼を言われるようなことはしていないが」
「一くんが気ぃ付いてくれへんかったら、今頃あたしは確実に死んでたし」
一くんは微笑を浮かべると、真面目に答えた。
「案ずるな、鼻緒ずれでは死なん」
始まった日々<3>/終