The Nightmare After Christmas
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「そうでした!」
行李にしまい込んだまま、すっかり忘れていた。
この髪も、お通夜が終わったらすぐに下ろしてしまおうと思っていたけど、山南さんがそう言うのならお正月までガマンしよう。
「こんな時に不謹慎だとは思うけど、君のこんな姿を見られるなんて嬉しいよ」
あたしは困って苦笑いした。
だって、不謹慎だとは思うけど、そんな風に山南さんに言ってもらえたことがとても嬉しい。
頬に添えられている山南さんの手の平に、そっと自分から頬を付けたその時、背後で障子が開いた。
「やあ、土方くん」
山南さんは言って、あたしの頬から手を離した。
「準備は出来てるかい、サンナンさん。一緒に行こう」
ハラハラするあたしを差し置いて、山南さんはにこやかに答えた。
「良かった、君が一緒なら安心だ。
近所とは言え、何かあったら私では彼女を守り切れないかもしれないから」
土方さんは、少しバツが悪そうに小さく咳払いをした。
光縁寺は前川さんちの前を通る綾小路通りを東に少し歩いた所にあるお寺だ。
何分もかからない距離だが、山南さんは駕籠に乗った。
あたしは裾を引きずらないように、片手でつかんで土方さんの後に続く。
結局、リクちゃんは来ないことになった。
【野口はんに恥かかせるとあきまへんよって】
リクちゃんはそう言って、深く深く腰を折った。
そんなリクちゃんの肩はとても小さくて、とても儚げで、とても悲しかった。