<3>
あたしは、土方さんの部屋で帰りを待つことにした。
でも、帰ってきたところで、何を訊けばいいんだろう。
なぜ、ケンカの仲裁で切腹なんですか?
野口さんは、粛清されたんですか?
芹沢さんのグループだったから?
それを訊いたところで、土方さんは何も答えてはくれないだろう。
山南さんに───訊いてみようか。
山南さんでなくとも、誰でもいい。
平助くんなら、なおいい。
あたしは、土方さんの部屋を出て、誰かを探した。
けど、左之さんたちも、平助くんたちも、源さんさえいない。
あたしは仕方なく山南さんの部屋を訪ねた。
山南さんの部屋にいれば、土方さんが帰ってきてもすぐにわかるだろう。
声をかけると、すぐに障子が開いた。
山南さんは文机に向かっていたが、顔をこちらに向けてにっこり笑った。
「大丈夫だったかい?」
「はい、でも……リクちゃん、可哀想なくらい気丈にしてて」
「違うよ」
「え?」
「君だよ」
「あたし、ですか?」
あたしは部屋の中に入って、山南さんのすぐ側に座った。
「切腹したのが野口くんだったと分かってから、ずっと真っ青だよ」
あたしは、手で自分の頬をなでた。
「サンナンさんでも、切腹になったでしょうか………」