The Nightmare After Christmas
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「合取りと言わず、ついたらどうだね安藤くん」
「俺は親戚に餅屋があって、そこへ居候して餅の合取りを半年やらされたんです」
「それは、さぞ上手いだろうな」
「土方さんと勝負してもらいたいですね」
あたしが言うと、彼はきょとんとする。
「土方先生ですか?」
「土方さんも、合取りの名人らしいですよ」
彼は驚きの表情を作った。
「それは初耳だ!今度是非ともお手合わせ願いたいものですな」
安藤というその人は、臼の前に立って、下男さんのつく杵の下で合取りを始めた。
なるほど、住み込みで半年修行したと言うだけあって、鮮やかな手つきで餅をひっくり返す。
呼ばれてもいないのに、ノリノリの恰好で現れるはずだ。
テンポの良い掛け声が上がり始める。
スエちゃんもリクちゃんも、「よいしょ、よいしょ!」と手を叩きながら声を出す。
山南さんも、楽しそうに声を張った。
源之丞さんも八木さんちの子供たちも、女中のみんなも、若い隊士の鮮やかな合取りを感心しきって見入っていた。
あたしは山南さんが楽しそうなのが嬉しくて、そっと肩にもたれながら安藤さんの合取りに掛け声を掛けた。
そもそも、なぜ安藤さんがたすき掛けに鉢巻き姿でここに現れたのかということを誰も気に掛けなかった。
そこにいた誰もが、名人芸の合取りを披露するために、安藤さんは準備万端で現れたのだと信じて疑っていなかった───。
The Nightmare After Christmas<1>/終