始まった日々
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<2>
持ち上げたお膳に、ぽたりと汗が一しずく落ちた。
「暑(あ)っつ……」
朝食を終えて、お膳を台所へ持って行く頃になると、あたしはこの蒸し暑さに耐えられなくなっていた。
【昔は今より涼しかった】という言葉を聞くことがあったけど、やはりこの時代でも夏は暑いのだ。
(なんか、【あっち】の方がカラっと暑くて過ごしやすかった気がする……)
自分が歩くことによって身体の周りに起こる風が頬にあたって、わずかばかりの涼を感じることができるが──。
「あっつーーーーーう!!!」
畳の上に横向きに寝転がったあたしを部屋の主である左之さんが団扇で扇いだ。
「ご苦労さん」
「帯とりたーーーーい!」
「そりゃあ、俺としちゃあ大歓迎だが」
左之さんは眉を下げて笑う。
冗談抜きに、こんなもん巻き付けていたら、一日でお腹周りが汗疹(あせも)だらけになってしまいそう!
あたしは起き上がって、左之さんに背を向けた。
「左之さん、帯ほどいて」
「おいおい、」
笑いながら左之さんはあたしのうなじを扇ぐ。
「早(はよ)う、」
「──はぁ?」
「ほどいて、帯。はよう」
「日の高けぇうちから、何言い出すんだ」
左之さんはくすくす笑っている。
「ええから、早よほどいてくださいってば。もぉぉおおぉお!」
あたしは癇癪を起して、後ろ手に帯を引っ張った。
「やめろってば、何をおっぱじめようってんだよ」
「もうっ」
あたしは立ち上がって、慌て始めた左之さんの部屋を後にした。