命の恩人
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「うふふ」
山南さんが笑う。
「なんですか?」
「こんな風におなごに顔を拭ってもらうなんて、小さい子どもだった頃以来だなと思って。
もちろん、そのおなごというのは母だったけど」
あたしは笑った。
「またまた!
お母さん以外にも、山南さんのお顔ふきたい女の人はいっぱいいはったでしょお?」
少なくとも明里さんは、そのうちの一人だろう。
「本当だよ」
「だって、モテはるでしょう?」
「そうでもなかったさ」
過去形なのが、どこか寂しい。
「山南さんもいっぱい恋文もらったはります?
土方さんなんか酷いんですよ。
その返事をあたしに書かさはるんですから」
「ああ、例の」
山南さんは、くすくす笑った。
「え、知ったはるんですか!?」
「うん、沖田くんから聞いたよ。
ヤキモチを焼いた君が変な返事を書いて、おまけに捨てるよう言われていた恋文を故郷に送ってしまった、って」
「ヤキモチなんか焼きませんし!
それに、あたしがそんな悪いこと思いつくわけないでしょ?
ぜぇんぶ総司くんが考えはったんです」
山南さんは可笑しそうにあたしを見ている。
近い距離で視線が合って、あたしはオドオドと目をそらせた。
もう一度、手ぬぐいを絞り直して、それを山南さんの引き締まった胸に当てた。
「あ、そう言えば、前は自分で出来るかもしれないな」
山南さんが言って、あたしから手ぬぐいをそっと取り上げた。