始まった日々
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彼女はにっこり笑うと、差し出されたお膳を受け取って、なんとも言えない優雅な立ち居振舞いでくるりと踵を返した。
「──あ、あの人は?」
あたしはポカンとする。
「お梅はんどす」
(ああ、例の芹沢さんの……)
「綺麗な人ですね、」
「もとは島原の芸妓やったらしいどすえ。
菱屋の旦那はんが身請けしはったんどすけど、なんや知らん、いつの間にか芹沢はんとええ仲にならはったみたいで、うちに寝泊まりしたはりますけど」
そして、ちらりとあたしを見た。
「──、ちゃ、ちゃいますって!あたしは、そういうのと違いますんで」
【どうだか……】という目で見てから、その中年の女性はあたしにお膳を押し付けた。
あたしはお膳を運びながら、芹沢グループの部屋を盗み見た。
障子が開け放たれた部屋に、お梅さんの後ろ姿が見える。
その向こう側に大柄な男性の横顔がちょっとだけ見えていた。
お梅さんが、【しな】を作ってその男性の腕を叩いているところを見ると、あの人が【芹沢】なのか──。
そう思いながら見ていると、お梅さんの陰からこちらに向けた芹沢の視線と目が合った──気がした。
(やば、)
あたしは、急ぎ足で左之さんのところへ戻った。