命の恩人
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「もう、総司くんが二つも取るしやぁん!」
総司くんの手には、食べかけのおにぎりが一つ残っている。
「ちょうだい、それ」
「やだ」
「なんでよ、ちょうだいってば!」
「やぁだってばぁ!」
総司くんは、残った半分のおにぎりを口の中に詰め込んだ。
「ほら、これをお上がり」
山南さんが苦笑いで半分残ったおにぎりをあたしに差し出す。
「あきませんて、山南さんはちゃんと食べないと!」
総司くんを捕まえようとして、逃げられた。
「いいから、お上がり」
あたしは、「すいません」と恐縮しながら、半分のおにぎりをもらって食べた。
まったく、総司くんは何を考えているのかさっぱりわからない。
総司くんはまた、子供たちと遊び始めていた。
「ああ、帰ってきたんだな………」
独り言だろうか。
「何も変わらない。
子どもたちも、そして君も」
山南さんは、あたしを見てにこりと笑った。
【サンナンさんも、なんにも変わったはりませんよ】
そう言うべきだろうか。
実際、【山南敬助】は何も変わっていないように思う。
変わったのは、彼の手と足だけだ。
ほんの一部分のことだ。
そう伝えたくても、それを上手く言葉に出来ないでいた。
「皮肉に聞こえたかい?」
「ごめん、ごめん」と、山南さんはくしゃりと笑った。
命の恩人<2>/終