命の恩人
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「サンナン、どうもないんか!?」
五平にはどうやら、相手が年上だろうが武士だろうが、言葉遣いを気にするつもりがないらしい。
だが、顔付きは真剣で、心底山南さんの事を心配しているようだ。
「えらいこと怪我したてのぞみから聞いてたけど、ホンマなんか?」
「そうさ、ご覧の通り。まったく情けない話さ」
「斬られたんか?」
「五平、」
遠慮のない言い方に、あたしはたしなめるように名前を呼んだ。
だが、五平は聞こえていないように続ける。
「誰に斬られたんや!わてが仇取りに行ったる!」
「五平」
山南さんは、優しい声音で五平の名を呼んだ。
「仇を取る取らないの話じゃないよ、お互い様さ」
「お互いさまぁ?!」
「そう、私を斬らなければ相手が私に斬られる。
死にたくなければ私を斬るしかない」
「そやけど…………」
「私が斬るときもあれば、当然斬られる場合もある。
それだけのことさ」
山南さんの言葉は、妙に納得がいくようで、それでもどこか虚しく響いた。
五平の肩をつかんで横にどかしながら総司くんが訊いた。
「足慣らしですか」
「うん、大坂で寝たきりだったせいで、すっかり脚が萎えてしまったからね」
「すぐに良くなりますよ」
「ね、」と総司くんは、あたしに視線を向けた。
あたしも、「うん、もちろん」と答える。
「そや、総司くん、サンナンさんに付いててあげて。
あたし、お弁当作ってくる」
「ええーーー、君、お弁当なんか作れるのぉ?!
僕、食あたりで寝込みたくなんかないんだけど」
「あんたな、叩かれたいん?」
馬詰さんにも後のことをお願いして、あたしは八木さんちへ走った。