命の恩人
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「あの馬詰くんの?」
「柳太郎の父にございます」
「そうだ、そうだ」
「どこかで見た顔だと思った」と、山南さんは笑みを浮かべた。
「お父上の方で残念だったね、のぞみ君」
「へ?」
「いつだったか君、角屋で美男五人衆を侍らせていただろう」
「ああ」と、あたしは間抜けな声をもらした。
確か、馬詰さんはそのとき留守番を言いつけられていて、角屋にいなかった人だ。
お父さんがこんなに男前なんだから、息子もきっとイケメンなんだろう。
「土方くんも考えたね。一本取られたよ」
「え?」
山南さんは、眉尻を下げて苦笑いしている。
「お目付け役だよ。私が君に手を付けないように。
だけど、若い男じゃ君を横取りされかねない。
馬詰さん、上手く使われてしまいましたね」
気の毒そうな笑みを馬詰さんに向ける。
馬詰さんは、なんと答えれば良いのか困った様子で「はあ、どうですか」とだけ言った。
馬詰さんが山南さんを支えるので、あたしは二人を先導するようにゆっくり前を歩いた。
山南さんは、右足を少し引きずっている。
「斬られどころが悪かったのか、右脚に力が入らないんだ。
気を抜くと、転んでしまうこともある」
土方さんが気付いたとき、山南さんは刀を折られて血まみれだったと聞いた。
もしも平成の世なら、上手くリハビリすれば治る程度のものなのかもしれないが、あたしにはその知識が無い。
「毎日歩いたら、マシになるかもしれませんよ。
左手も、ちょっとずつ動かさはるようにしたら、もしかしたら良うなるかもしれませんし」
「うん」
半ばうわの空で山南さんは返事をした。
「そんなことあるわけが無い」と、諦め切っているのかもしれない。