命の恩人
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山南さんが座っている縁側のすぐそばのところにお膳を置いて、あたしも脇に控えた。
「ありがとう、私は一人でも大丈夫だから。
君は平助たちと一緒に食べてきなさい」
「────、でも………」
山南さんは、優しい笑みを浮かべる。
「昨夜は私が独り占めしたんだ。今朝は平助に返してやらないと恨まれてしまうよ」
あたしは、「あはは」と笑った。
「ほんまに大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。
君も忙しいだろう。私のことは放っておいてくれればいい」
「すいません、またあとでお膳取りに来ますので、置いといてくださいね」
以前の山南さんなら、お膳を自分で返しただろうけど、片腕が使えない上に足を引きずっていてはお膳を持って歩くのは困難だ。
少し悲しい気持ちになりながら、あたしは左之さんの部屋に向かった。
開け放した障子から見えた部屋には、まだお膳が一つも並んでいない。
「あらら、」
あたしは台所へ向かおうと踵を返した。
すると前から、積み上げたお膳で顔の見えない一くんが歩いてくる。
顔が見えないのになぜ一くんと分かるのかと言えば、お膳の隙間から少し眠たげな二重まぶたの大きな目が抜け目なくキョロキョロしているのが見えるからだ。
「ハジメ君、おはよう」
「…………」
返事がないのは、返事をすると気が散ってお膳が崩れてしまうと思っているからだ────たぶん。
凄腕の剣士らしいのに、妙に真面目くさったそういうことろが、ちょっと可愛くて笑ってしまう。