<3>
山南さんの部屋を出て、土方さんのお膳を回収すべく、部屋へと向かった。
「もう~、【お膳出しといて】て、言うたのにぃ~~」
縁側にお膳が出ていない。
また、あの仏頂面を見なければいけないではないか。
がちゃん────と、わざと音を出して山南さんと自分の分のお膳を縁側に置いて障子に手をかけた。
「入りますよー」
言いながら障子を開ける。
案の定、ムスッとした顔の土方さんが腕組みで待っていた。
(なんやねん、もう~~)
(さっさと寝ればいいのにぃ~~)
そう思いながら、愛想の良い声で言う。
「お膳、もろていきますね」
すると、とてつもなく機嫌の悪そうな声で土方さんが言った。
「サンナンさんの部屋で何をやってた」
「何って、ご飯一緒に食べてたんです。
なんか、不自由があったらあかんでしょ?」
土方さんはムスッとしている。
そして、イライラした様子で言った。
「で?」
「…………、【で?】て、なんです?」
何の怒りか知らないけど、土方さんは怒りを爆発させた。
「で、どうだったんだって聞いてるんだ!ちゃんと食べられたのか!」
(なんやねん、もう~~~~)
「はい、ちゃんと食べはりましたよ。
まあ、右手はなんともないですし、少し不便かなくらいの感じです」
「そうか」
そう言ったきり、土方さんは黙り込んだ。