地獄の山南敬助
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【すっかり葉が色づいて秋が深まりました】
山南の部屋から見える小さな庭には常緑の植木しか植わっていないので、それを知ることは出来ない。
だが、彼女の言う通り、壬生村を出た時にはまだ暗い色をしていた木々も今頃は鮮やかな色彩に変わっていることだろう。
【サンナンさんのいない八木さんちは、とても広く感じられて、とっても寂しいです。】
見舞いにやって来る者たちの上辺だけの言葉に、山南はすっかり疑り深くなってしまっている。
それでも、彼女に【寂しい】と言われれば胸が高鳴った。
(寂しいのは、私の方だ)
こんな身体になってしまった今、もう彼女は山南のことを【格好いいおうじさま】とは呼んではくれないだろう。
そう思うとまた溜息が出た。
読み進めて、ふと山南は目元を緩めた。
近所の子供たちのことが書いてある。
皆が早く山南と遊びたがっていて、【「大阪までサンナンを迎えに行って来い」と毎日せがまれています】とあった。
山南は、子供たちに人気があった。
沖田のように一緒に駆け回ったりはしないが、小さい子の剣の相手を買って出たり、御伽草子を聞かせたりする。
皆、山南の帰りを首を長くして待っている、と彼女は伝えていた。
有難いことだ───そう思いながらも、山南は侘しさを感じずにはいられない。
(君は、どうなんだ………)
山南は頭を振った。
彼女からの手紙に一体何を期待していたのか。
【会いたい】と書き綴ってあるとでも思っていたか、と自嘲した。
たとえ【会いたい】と言われたところで、今の自分を彼女の前に晒すことは苦痛以外の何ものでもない。
───放っておけと言ったはずだ
また、あの声が聞こえた。
山南はもう一度頭を振って、先を読み進めた。