悔恨
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まあいいや────と、あたしは膝をついて羽織と袴を丁寧に畳んだ。
「お前ぇ…………」
「はい?」
手を動かしながら返事をする。
すると、その手首を掴んで、土方さんはあたしを立たせた。
袂に顔をよせて、ひくひくと鼻を動かす。
「何だ、この匂いは。色気付きやがって!」
土方さんは、突き放すようにあたしの手首を放すと、どすんと火鉢の前に胡座をかいた。
「ああ、匂い袋のことですか?」
土方さんは、不機嫌そうな顔でフンと鼻から息を吐く。
「いい匂いでしょ?
サンナンさんがくれはったんです、大阪出発の前の晩に」
山南さんの怪我は、あたしが思っていたよりも、ずっとひどいものだった。
最悪の場合は、腕が元通りには動かせないかもしれないという。
「デキてンのか」
「────へ?」
「サンナンと、寝てるのかって訊いてるんだ!」
「は、…………はぁ?」
予想外の問いに、あたしは思わず笑いを漏らした。
「何言うたはるんですか?」
「寝たのか、寝てねぇのかどっちだって聞いてンだよ!」
「そんなこと、あるわけないやないですか。
第一、サンナンさんには明里さんがいはるでしょ?」
「破談になった」
「ええ?」
「サンナンさんが破談にしたと、置屋の主人に言われたんだ」
「なんでです?」
「それは、俺が聞きてぇよ!」
土方さんは火鉢に手をかざして、「ちっ」と舌打ちをした。
「今、火ぃ入れますね」
あたしは笑い含みに言って踵を返した。