悔恨
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土方は、その頃島原の置屋にいた。
応対に出てきた主人が、愛想の良い笑みを浮かべて深々とお辞儀をする。
「今日私が参ったのは、兼ねてより申し入れてあった明里の身請けの件である」
「へへっ」
主人は、更に頭を低くした。
「そちらにも準備の都合があろうが、少々時期を早めてもらいたい」
「────へ?」
短くそう言って、顔を上げた主人は困惑の色を隠せないでいた。
「実は、山南先生が少し怪我を負われた。しばらく静養が必要となる。
住まいの方は早急にこちらで手配する故、明里には、そちらに住み移り山南先生のお帰りをお待ちするように」
「へえ…………、」
主人の返事は曖昧だ。
「どうした、何か不服か」
「い、いいえ、滅相もおへん!」
困ったような表情の置屋の主人に、土方は話を続けた。
「ならば、それで良いのだな」
「へえ、…………そうどすけど、どう言うたらよろしおすやろか。
実は昨日、山南先生から手紙が届きまして、それには────」
少し間を取ってから主人は、困惑するように続けた。
「身請けの話は破談にして欲しい────て、そうあったもんですさかい…………」
「破談に?」
「へえ、」
「それは、何故?どのような理由だ?」
「へえ、それが、…………一方的に、破談や、いうことで。
機会がおましたら、明里にどないなご無礼がありましたんか、お聞き申し上げたいと思うておったところどす…………」
恐縮して主人は言った。
そんな話は聞いていない。
もしもそのような理由で破談にするのならば、土方にも一言あっていいはずだ。
とにかく山南と話すと言って、土方は置屋を後にした。