手紙
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平助くんは、焦れったそうに手紙の先に目を走らせている。
【斬られた】とは、どういう意味なのか。
死んでしまった、ということなのか。
悪い想像ばかりがぐるぐると頭の中を巡る。
「平ちゃん…………」
「うん、…………【何事もなければ、命は助かる】って」
「【何事もなければ】ってどういう意味?」
「つまり、【傷が膿まずに塞がれば】ってことだろ」
膿まずに────そうか、抗生物質がないのだ、と気付く。
「傷って、深いの?」
「うーん、そこまで書いてないからわからねぇけど、しばらく動かせねぇみたいだから、浅くはねぇんじゃね?」
「大丈夫やんな?」
「え?」
「死なぁらへんやんな?」
平助くんの手が伸びてきて、あたしの頬に触れた。
「サンナンさんは強い人だ。大丈夫だよ、…………きっと」
困ったような笑みを浮かべて、平助くんは続けた。
「なんか妬けるな。俺の時も、そうやって心配してくれよ」
「なに言うてんのよ、もう!怪我したりしたら、しばくからなっ」
平助くんは、「はは」と小さく笑った。
「さあ、もうすぐ交代の隊士が大坂に着くはずだ。土方さんが帰ってくるぞ。
いい子にしてねぇと、また雷落とされるぞ?」
「サンナンさんは?」
「うーん、総司が向こうに残って身の回りの世話をするらしい」
駕籠を使えないほどの傷ということなのだろうか。
あたしは、袂の中に手を入れた。
山南さんがくれた匂い袋をぎゅっと握った。
手紙/終