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「わん」
「【わん】ちゃいます、【one】」
言い直して、彼女はくすくす笑った。
「two」
「ちゅ、てゅうぅ~」
普段はきりっとした目許を三日月形に緩めて、彼女はウンウンと頷く。
「three」
「す、……とぅ、すぅ………」
「こう」
綺麗に並んだ歯列から舌の先を覗かせて、「すぅ」と息を吐き出す。
彼女自身は気付いてはいないが、その口許に抗い難い色気がある。
山南は頭を振って降参した。
「メリケン人やエゲレス人は、何故このようにややこしい物の言い方をするのだろう」
「慣れですよ、サンナンさん。慣れ。ほら、もう一回【THRee】!」
【す】と【り】の音をことさらに強調して彼女は言った。
「こら、からかうんじゃない」
怒った振りで、山南は堪らず彼女の頬を両手で包む。
くすぐったそうに彼女は首を竦めた。
このまま唇を奪いたい───その衝動を抑えるには相当な自制心を要した。
「二十まで数えられたら、あとは似たようなンの繰り返しです」
彼女は背を向けると、山南の文机で筆に墨を含ませた。
「百まで書いときますね、大サカから帰ってきはるまでにちゃあんと言(ゆ)えるようになっといてくださいよ?」
うなじにほつれる後れ毛が陽の光に透けて、黄金色に光っている。
くすぐったいような欲望を下腹に潜ませながら、山南は真面目くさって答えた。
「はい、のぞみ先生」