いきはよいよい
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偉そうな咳払いに、視線を土方さんに戻すと、薄目であたしを睨みつけていた。
「すいません、もっとちゃんとお礼言うときます」
「もういい」
土方さんは不機嫌そうに言って、お茶をすすった。
「それはそうと、災難だったな」
「そうそう、びっくしました!
わざわざ【うちの楠が今回はえらい世話になって】とか嫌味タラタラ声掛けてくるとか、そーとー性格悪い男ですよね。
そもそも、あんな純粋で可愛い子を間者に仕立てたんは自分やろ、っちゅうんです。
ほんま、むかつくオッサンです」
どこか笑いを堪えているふうな顔付きで土方さんは言った。
「【良い男】だって、お前ぇ言ってたんじゃなかったのか」
「言うてませんし。
それに、あの手の顔は絶対クチ臭いですよ」
嫌そうな顔で、土方さんはあたしを見た。
もしかしたら、遠回しに【お前も口が臭い】とあたしが言っていると思ったのかもしれない。
「ちなみに、土方さんは大丈夫です」
そう言うと、「たりめぇだろ!」と怒ってきた。笑ける。
土方さんは【もういい】と言ったけど、やっぱりもう一度、ちゃんと山南さんにお礼を言っておこうと、あたしは左之さんの部屋へと向かった。
すでに酒盛りに移っている室内は、障子を開けたとたん、フンドシ一丁の新八さんの後ろ姿が目に飛び込んできてゲンナリする。
一方、左之さんの前にしゃがみ込んだ平助くんは、彼の引き締まったお腹にバカバカしい顔を描き込んでいる。
若い頃切腹しかけたことのある左之さんのお腹には、真一文字に傷跡があった。
それを【くち】に見立てて顔を描き、踊りを披露するのが左之さんの十八番なのだ。
それさえなければ、すぐにでもカノジョに名乗りをあげたいのに───。