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夕食後、あたしは平助くんに連れられて、ここのお屋敷の持ち主だという八木さん一家が生活するエリアにやってきた。
八木さんは、このお屋敷の主というだけあって、裕福な農家らしい。
「──ああ、あんさんどすか」
ここの屋敷の奥さんである【マサ】さんだ。
(こわい人やったら、どうしよ……)
(なんせ、【足抜け】ってプロフィールがあんまり印象良うないしな……)
そう身構えたあたしに、
「えらい目ぇに遭うたんやて?可哀想になぁ」
そう同情した。
それから、平助くんに向かって、
「ほな、後はあてのほうであんじょうしときますさかい、」
そう言って丁寧に頭を下げる。
「じゃあな、ゆっくりしてこいよ」
平助くんは、にっこり笑って戻って行った。
その後ろ姿が見えなくなってから、マサさんは口を開いた。
「ほんまは使用人が使うお風呂で、思たんどすけど、
土方はんに頭下げられて、断るに断れんようになってしもてなぁ」
少し困ったように言ってから、
「そやけど、あんたも運が良かったような悪かったような、やな」
あたしを見て微苦笑する。
「あんたの器量やったら、もうちょっと我慢しといたら、誰ぞええ旦那がついて身請けしてくれはったやろに。
あの人ら言うたら、ほんま無粋でなぁ。
なんせ、禄のついたぁらへん浪士はんばっかりどすやろ?
ついこないだまでぼろぼろの綿入れ着たはった人もおいやしたくらいなんえ」
あたしはあいまいに微笑んだ。
「──あ、ほんでな。なんか【娘が着る単衣(ひとえ)ないか】て言わはるさかい、下着とか帯とか、土方はんに渡しといたんやけど、」
【あれで結構細かいことによく気が付くんだよ】
新八さんの言葉を思い出した。
(ふうん、)
ちょっと感心。
「あてが嫁入りのときに持ってきたもんやさかい、流行りの柄とはちゃうけど堪忍してや」
マサさんは、小さく笑った。