no choice
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馬鹿馬鹿しい。
休憩所でも何でも作って、さっさと出て行けばいい。
二人そろって、血祭りにあげられるといい!
「お前ぇ、馬鹿だろ」
「はいはい、そうですって。大アホです」
馬鹿馬鹿しくなって、あたしは投げやりに答えた。
「桂の野郎も大馬鹿野郎だ」
どこか機嫌良さそうに土方さんは続ける。
「お前ぇを人質にとりゃあ、案外俺の首くれぇ取れたかもしれねぇのによ」
(───は?)
その言葉の意味を頭の中で咀嚼していると、柔らかい声が身体を通して響いてきた。
「頬、痛かったろ」
(───へ?)
そうか、この間目から火花が散ったほど叩かれた頬のことか。
思考力の鈍った頭がそのことに思い当たった。
だが、【痛かった、ごめんなさい】と涙を流すほど、あたしは素直ではない。
むっつりと黙っていると、土方さんは続けた。
「お前ぇほど隊の機密を知ってる女は、他にはいねぇよ」
(………、そうなのか?)
そう思っていると、地面に立たされた。
「ほら、もう歩けるだろ」
「はい、」と頷くと同時に土方さんのぬくもりに閉じ込められた。
背中に回された腕に力がこもって、ふたたびあたしは痺れるような安堵感に包まれる。
「お前ぇが斬られなくてよかった」
この匂いが好き。
土方さんの匂いが好き。
「────ごめんなさい」
今度こそ、あたしはそう言った。
no choice/終