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あたしの背中を押したあと、楠くんは刀を抜き、袈裟掛けに斬り下ろした。
土方さんが手を引いてくれなかったら、あたしは痛い思いをして死んでいただろう。
腰が抜けてしまったあたしは、左之さんに抱かれて八木邸に向かうことになった。
左之さんがあたしをちらっと見ながら、背後に歩いている土方さんに向かって言う。
「土方さん、もう少し自分を大事にしてくれねぇと………」
あたしは、左之さんの肩越しにちらりと土方さんを見た。
ブスッと不機嫌そうな顔で、少し離れて歩いている。
「奴は、最初から土方さんを狙っていやがった。
お前を囮にして土方さんをおびきよせ、斬るつもりでいやがったのさ」
だけど、真正面から対峙すれば楠くんには勝ち目がない。
どうせ処刑されるなら、せめて一太刀ということか。
「確かに真っ向勝負じゃ土方さんには敵わねぇ。
だからあいつは考えたのさ。
お前を狙ってる振りをしよう、ってな」
「…………、意味が分かりませんけど」
「自分が狙われてる分にゃ、土方さんにとっちゃ楠一人くらいなんでもねぇ。
だが、お前が狙われてるとなりゃあ、話は変わってくる」
「好都合やないですか、厄介者始末してくれる人が現れて」
拗ねた言い方で、あたしは唇を尖らせた。
「ああも簡単に敵に背中を見せちまうなんてな」
左之さんはため息をつく。
「あの人があんなに動揺してるのは初めて見たぜ」
───土方さんが?
「まさか………」
あたしは、フンと鼻で笑う。