忍び寄る影
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「さ、帰ろ帰ろ」
あたしは言って、ぶるっと震えた。
日が落ちると、ぐっと寒くなる。
あっちなら、そろそろ夜は薄いコートでも羽織りたいくらいだ。
「随分冷えるようになったね。袷(あわせ)の着物を出さなきゃ」
総司くんもあたしも、単衣(ひとえ)と呼ばれる裏地のついていない夏の着物のままだ。
羽織も持っていないあたしは、陽が落ちると急に寒く感じる。
「君も土方さんに言って、袷を作ってもらいなよ───おっと、」
総司くんは自分の手で口を蓋した。
そして、内緒ごとを伝るように声をひそめる。
「そうだった、君、土方さん相手に怒鳴り合いの喧嘩したんだってね」
「───は?」
なんで知っているのだ、こやつは。
「それじゃあ、もう新しい着物は作ってもらえないかもね。
土方さんだって、憎ったらしい君に着物作るくらいなら、そのお金で遊女に貢物したほうがいくらかマシだろうし」
いちいちムカつくやっちゃ。
「ふん、あたしかって、あいつから【ほどこし】受けるくらいやったら、凍死したほうがマシやし!」
総司くんはけらけらと笑う。
「君のそういうところ、嫌いじゃないよ」
「別に嫌いでも結構です」
あたしはフンと背中を向けて歩き出す。
「そうツンツンするなよ、いちいち面白いなぁ君って」
無視して歩いていると、フワリ、総司くんが自分の袖をあたしの肩に掛けるようにした。